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北海道警察本部TEL.011-251-0110

〒060-8520 札幌市中央区北2条西7丁目

少年サポートセミナー

家出・無断外泊
 〈家庭〉と〈子供〉という2者の間に働く力というふうに考えてみると、家から子供が離れていく場合には、①家から遠ざける力が働く場合、②子供が遠ざかろうとする力が働く場合、③その両方が働く場合、がそれぞれ考えられます。
 家から遠ざける力としては、家庭不和、不適切な養育、過度な厳しさ、過度な期待、無関心、物理的な環境(狭さなど)、等が考えられます。
 子供が遠ざかろうとする力としては、友達など家族外の人間関係への強い興味関心や依存、保護者の価値観への反抗や強い自己主張、保護者への恐れ、家庭外での出来事への強い興味関心、活動性や行動力の高さ、等を挙げることができます。
 そして、こういった力が働きやすい状況がそろってしまうと、実際の家出として現れてくる事が考えられます。例えば、いつか出たい出たいと思っていても行く所が見つからなければ出られません。或いは、出よう出ようと思っていたのが「出て行け」と言われたことで、親のせいだと言わんばかりに出て行くという場合もあります。

イラスト〜深夜徘徊する少年
 家に帰ってきていない場合、心当たりの友達などに尋ねてみたり、友達が連絡を取る機会がある時に親が心配していることを伝えてもらえるようお願いしておきましょう。場合によっては、警察に家出の届出をせざるを得ないという親の気持ちも伝えてもらいましょう。友達経由で状況が伝わり、帰らないと大変だと子供が思って何らかの連絡を取ってきたり、帰ってくるきっかけになります。

 ただし、どの程度の家出なのか、子供の性格タイプなどを考えて、どの程度働きかけるか加減をしましょう。というのは、「大変なことになった」「帰ったら施設に入れられる」などと、子供が恐れすぎてしまうと帰りづらくなってしまう場合があったり、慌てるあまりに親が何回も関係しそうな友達に確認してしまって、それが「友達に迷惑をかけて面子をつぶされた」と子供が感じてしまい反発を強めてしまう場合などもあるからです。

 心当たりの行き先がある場合は、連絡を取ってみることも良いでしょう。ただし、子供は泊めてもらう理由付けに家庭の悪口を言っている可能性もあるので、相手方がすぐ親身になってくれるとは限りません。「子供が帰らないのは泊めるところがあるからだ」とけんか腰でいくと、泊めた側も「こんな親だからかわいそう」とさらなる誤解につながることもあります。立ち寄り先は子供の様子を知る大事な糸口であるという点を忘れず、協力を求めるほうがよいでしょう。

 帰ってきた子供への対応を考える時には、子供を家から遠ざける点で思い当たるところがあれば改善してみると良いでしょう。しかし、変えることが難しい事であったり、結果として子供が家に帰らないことに別の価値を見つけている場合には、最初の要因だけを考えても改善が難しいことはあります。

イラスト〜対話する親子 まずは、家出や無断外泊をしたということから二次的に生じる、子供を家から遠ざけるような力を強めないようにするのは大切です。
 保護者としては心配や腹立ちの気持ちは当然あるでしょうが、帰宅後の話合いが済んだ後は無意識に負の感情を引きずって、子供を針のむしろに座らせないよう心がけてみましょう。

 住居地を管轄する警察署や交番で受け付けます。お子さんの写真と保護者の印鑑を持って届出に行って下さい。その際、お子さんの気がかりなことがあればご相談下さい。

令和4年5月
北海道警察本部 少年サポートセンター