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北海道警察本部TEL.011-251-0110

〒060-8520 札幌市中央区北2条西7丁目

北海道警察速度管理指針(詳細)

北海道警察速度管理指針(詳細)
はじめに
 この指針は、速度抑制による交通事故の抑止と被害軽減を図るため、速度規制、速度取締り、交通安全教育などの総合的な対策を推進するに当たり、道内における過去5か年(平成31年~令和5年)の交通事故実態を基に、北海道警察の基本的な考え方とその方向性を示したものです。
第1 速度管理の必要性
 北海道では、他の都府県と比較して死亡事故率(*1)が高く、その要因の一つとして速度超過が認められますので、総合的な速度抑制対策を実施して、速度超過に起因する交通事故の防止と事故発生時の被害軽減を図る必要があります。 
 交通死亡事故の発生状況
  道内における交通死亡事故を走行速度の観点から分析すると、次のような特徴が見られます。
  •  交通死亡事故の第一当事者の4割以上に速度超過(*2)が認められる。
  •  最高速度違反(*3)を原因とする交通死亡事故の割合は全国平均の2倍以上(北海道10.1% 全国4.5%)と高くなっている。
 走行速度と交通事故の関係
  事故直前の速度と交通事故には、次のような関係が認められます。
○ 事故直前の速度が高くなるほど死亡事故率は高くなる傾向にあり、
  •  毎時60キロメートルを超え70キロメートル以下では人身事故約8件に1件
  •  毎時70キロメートルを超え80キロメートル以下では約5件に1件
  •  毎時80キロメートルを超え100キロメートル以下では、約3件に1件
 が死亡事故となっている。
*1「死亡事故率」
 人身事故100件あたりの死亡事故件数の割合
 死亡事故件数÷人身事故件数×100
*2「速度超過」
 規制速度を超えた速度
*3「最高速度違反」
 規制速度の30km/h以上超過の速度

 速度遵守による被害軽減の可能性
 速度超過がなければ死亡事故率は低く、逆に速度が超過するほど死亡事故率が高くなることから、速度遵守による被害軽減の可能性が高くなり、
  •  毎時10キロ以下の速度超過がある交通事故は、速度超過がない交通事故と比較して死亡事故率は7.2倍
  •  毎時10キロを超え20キロ以下の速度超過がある交通事故は、速度超過がない交通事故と比較して死亡事故率は17.3倍
  •  毎時20キロを超え30キロ以下の速度超過がある交通事故は、速度超過がない交通事故と比較して死亡事故率は33.6倍
  •  毎時30キロを超える速度超過がある交通事故は、速度超過がない交通事故と比較して死亡事故率は48.2倍
となっています。
 方面別交通死亡事故に占める「速度超過あり」の割合
 交通死亡事故に占める「速度超過あり」の割合では、全国平均の33.2%に対し、北海道の平均は42.0%と全国平均を上回る実態にあります。
 特に、函館方面及び北見方面では44.7%を占め、北海道の平均を上回っています。

第2 速度管理の目標
 適切な速度規制による安全と円滑の確保
 交通の安全と円滑を確保するため、交通事故の発生状況や道路構造・沿道状況など現場に応じて規制速度の点検・見直しを行うなど、適切な速度規制を実施します。
 道路状況や交通実態などに即した速度の抑制
 道路を通行するときは、決められた規制速度を守ることはもちろんですが、それ以外にも、積雪や凍結などの道路状況、天候や昼夜の別、歩行者や自転車などの交通実態などに応じて安全な速度で走行する必要がありますので、各種施策を実施して速度の抑制を図ります。
 速度遵守による交通事故の抑止と被害の軽減
 第1の3(速度遵守による被害軽減の可能性)のとおり、規制速度を超過するほど死亡事故率は高くなりますが、道内では速度超過を伴う交通死亡事故が数多く発生していますので、交通事故の抑止と被害の軽減を図るため、速度違反の取締りを含めた各種施策を実施して速度遵守を図ります。

第3 速度管理の内容
 道内における交通死亡事故の特徴
 道内の交通死亡事故は「人対車両・正面衝突・車両単独」の3つの事故類型で約8割を占めていますので、これら事故類型の事故抑止を重点とした対策を推進する必要がありますが、このうち「人対車両」の約9割は市街地、「正面衝突」の約9割、「車両単独」の7割以上が郊外で発生していますので、北海道警察では、悲惨な交通事故を1件でも減少させるため、次のとおり、大きく「市街地」(*4)と「郊外」に分類して交通事故の発生実態に即した速度対策を推進します。
  1.  市街地における人対車両事故の特徴
    •  約5割が市町村道で発生している。
    •  3割以上に速度超過が認められる。
    •  死者の7割以上が65歳以上の高齢者である。
    •  事故直前の走行速度が40km/hを超えると死亡事故率が上昇する。
  2.  郊外における正面衝突・車両単独事故の特徴
    •  5割以上が国道で発生している。
    •  約5割に速度超過が認められる。
    •  事故直前の走行速度が50km/hを超えると死亡事故率が上昇する。
 具体的活動
 市街地及び郊外では、次に掲げる施策を実施します。
  1.  交通実態に即した速度規制の実施
     現行の規制速度が実勢速度と乖離している道路においては、交通実態等を踏まえて検討し、適切な速度規制を実施します。
     また、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の推進を図るため、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする「ゾーン30プラス」(*5)等の整備を実施します。
  2.  交通事故実態などに即した速度違反の取締り
     速度に起因する、あるいは速度超過を伴う交通事故の防止と被害の軽減を図るため、交通事故実態などに即した速度違反の取締りを実施します。
  3.  赤色灯を点灯させた白バイ・パトカーによる警戒活動
     通行車両に対して速度の遵守を働きかけるため、赤色灯を点灯させた白バイ・パトカーによる警戒活動などを実施します。
  4.  情報発信活動及び交通安全教育の実施
     速度抑制の必要性や走行速度と交通事故の関係などを周知するため、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、新聞、ラジオなどの各種広報媒体やポスター、チラシなどを活用した情報発信活動を実施するとともに、DVDなどの視聴覚教材を活用した交通安全教育を実施します。
*4「市街地」
 道路に沿っておおむね500メートル以上にわたって、住宅、事業所又は工場等の建造物が連立し、又はこれらが混在して連立している状態であって、その地域における建造物及び敷地の占める割合が80パーセント以上になるいわゆる市街地的形態をなしている地域をいう。(片側だけがこのような形態をなしている場合を含む。)
*5「ゾーン30プラス」
 生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図るため、最高速度30km/hの区域規制と、狭さくやスラローム等の物理的デバイスの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域

 施策を実施する路線・地域
 第3の2(具体的活動)で記載した施策を行う路線・地域は次のとおりです。
 なお、具体的な路線・地域は、各警察署及び高速道路を管轄する所属ごとに作成する「速度取締指針」(*6)の中で示します。
  1.  市街地
    •  人の往来の多い路線・地域
    •  通学路や高齢者利用施設周辺
    •  住宅街の生活道路 など
  2.  郊外
    •  各都市間を結ぶ幹線道路
    •  いわゆる裏道・抜け道 など
  3.  市街地・郊外共通
    •  交通事故が多発している路線・地域
    •  重傷(*7)以上の交通事故が発生している路線
    •  幹線道路につながる道路や住民等から取締要望のある路線・地域
    •  高速道路、自動車専用道路 など
*6「速度取締指針」
 北海道警察速度管理指針の考え方に基づき、警察署等の地域単位において、いかに速度取締りを実施していくかについて、当該地域における交通事故実態等の分析結果を踏まえ、重点的に速度取締りを行う路線、時間帯等を明らかにするもの。
*7「重傷」
 交通事故によって負傷し、1箇月(30日)以上の治療を要する場合をいう。

令和6年3月
北海道警察本部交通企画課