この指針は、速度抑制による交通事故の抑止と被害軽減を図るため、速度規制、速度取締り、交通安全教育などの総合的な対策を推進するに当たり、道内における過去5か年(平成31年~令和5年)の交通事故実態を基に、北海道警察の基本的な考え方とその方向性を示したものです。 |
北海道では、他の都府県と比較して死亡事故率(*1)が高く、その要因の一つとして速度超過が認められますので、総合的な速度抑制対策を実施して、速度超過に起因する交通事故の防止と事故発生時の被害軽減を図る必要があります。 | |||
1 交通死亡事故の発生状況 道内における交通死亡事故を走行速度の観点から分析すると、次のような特徴が見られます。
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2 走行速度と交通事故の関係 事故直前の速度と交通事故には、次のような関係が認められます。
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*1「死亡事故率」 人身事故100件あたりの死亡事故件数の割合 死亡事故件数÷人身事故件数×100 *2「速度超過」 規制速度を超えた速度 *3「最高速度違反」 規制速度の30km/h以上超過の速度 |
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3 速度遵守による被害軽減の可能性 速度超過がなければ死亡事故率は低く、逆に速度が超過するほど死亡事故率が高くなることから、速度遵守による被害軽減の可能性が高くなり、
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4 方面別交通死亡事故に占める「速度超過あり」の割合
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1 適切な速度規制による安全と円滑の確保
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2 道路状況や交通実態などに即した速度の抑制
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3 速度遵守による交通事故の抑止と被害の軽減
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1 道内における交通死亡事故の特徴 道内の交通死亡事故は「人対車両・正面衝突・車両単独」の3つの事故類型で約8割を占めていますので、これら事故類型の事故抑止を重点とした対策を推進する必要がありますが、このうち「人対車両」の約9割は市街地、「正面衝突」の約9割、「車両単独」の7割以上が郊外で発生していますので、北海道警察では、悲惨な交通事故を1件でも減少させるため、次のとおり、大きく「市街地」(*4)と「郊外」に分類して交通事故の発生実態に即した速度対策を推進します。
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2 具体的活動 市街地及び郊外では、次に掲げる施策を実施します。
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*4「市街地」 道路に沿っておおむね500メートル以上にわたって、住宅、事業所又は工場等の建造物が連立し、又はこれらが混在して連立している状態であって、その地域における建造物及び敷地の占める割合が80パーセント以上になるいわゆる市街地的形態をなしている地域をいう。(片側だけがこのような形態をなしている場合を含む。) *5「ゾーン30プラス」 生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図るため、最高速度30km/hの区域規制と、狭さくやスラローム等の物理的デバイスの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域 |
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3 施策を実施する路線・地域 第3の2(具体的活動)で記載した施策を行う路線・地域は次のとおりです。 なお、具体的な路線・地域は、各警察署及び高速道路を管轄する所属ごとに作成する「速度取締指針」(*6)の中で示します。
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*6「速度取締指針」 北海道警察速度管理指針の考え方に基づき、警察署等の地域単位において、いかに速度取締りを実施していくかについて、当該地域における交通事故実態等の分析結果を踏まえ、重点的に速度取締りを行う路線、時間帯等を明らかにするもの。 *7「重傷」 交通事故によって負傷し、1箇月(30日)以上の治療を要する場合をいう。 |