オウム真理教の動向 |
1 教団の現状 ![]() オウム真理教(以下「教団」という。)は、麻原彰晃こと松本智津夫(以下「松本」という。)への絶対的帰依を強調する「Aleph(アレフ)」をはじめとする主流派と松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名のる上祐派が活動しています。 教団は、15都道府県に30か所の拠点施設を有し、信者数は、その活動状況等から合計で約1,600人とみられます。(令和7年1月時点) 道内では、主流派が「札幌白石施設」(札幌市白石区)及び「札幌施設」(札幌市豊平区)の2か所の拠点施設を設置しています。 (1) 松本への絶対的帰依を強調する主流派
主流派は、依然として松本の「生誕祭」を開催しているほか、同人の写真を拠点施設の祭壇に飾ったり、説法会等において信者に対して同人の「偉大性」を称賛する内容のDVDを視聴させたりするなど、松本への絶対的帰依を強調して「原点回帰」路線を徹底しています。
![]() 執行部により排除された一部の信者は、松本及び同人の説く教義を基盤としながら「Aleph(アレフ)」とは一定の距離を置いて活動を継続しています。 今後も主流派は、松本が依然として絶対的な存在であることを強調するとともに、同人の説いた教義に沿った運営を行いながら、組織の拡大及び統制を図っていくものとみられます。 (2) 松本の影響力払拭を装う上祐派
上祐派は、同派のウェブサイトに「オウムの反省・総括」を掲載したり、上祐史浩代表がSNSを通じて松本からの脱却を強調するなどし、松本の影響力がないかのように装って活動しているほか、「開かれた教団」や組織の刷新をアピールしています。
同派は、今後も松本からの脱却を装いながら、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(以下「団体規制法」という。)に基づく観察処分の適用回避に取り組み、組織の維持を図っていくものとみられます。 (3) 団体規制法に基づく処分状況
(4) 組織拡大に向けた動向
主流派は、街頭や書店において声掛けを行っているほか、SNSを利用し宗教色を感じさせないヨーガ教室等の各種イベントを開催するなど、青年層を中心に接触を図り、新規信者を獲得しています。
一方、上祐派は、各拠点施設で開催している上祐代表の説法会や各地の神社仏閣等を訪問する「聖地修行」等の行事への参加を呼び掛けるとともに、様々なメディアを通じて同派の活動を積極的に発信するなどして、信者獲得を図っています。 |
【事例】主流派「Aleph(アレフ)」による勧誘活動
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(5) 遺骨を巡る動向
平成30年7月の松本の死刑執行後、松本の遺骨等の引渡しをめぐって松本の家族間で争われていた祭祀承継審判については、令和3年7月の最高裁判所決定により、松本の二女が祭祀承継者に確定しました。
2 オウム真理教対策の推進その後も、遺骨等は国により保管されていたことで、令和4年10月、二女が国に対し、遺骨等の引渡しを求めて東京地方裁判所に提訴しました。これに対し、国側は遺骨等について二女側が保管の場所や方法を示しておらず、二女ら関係者の安全性に懸念があるなどと主張し請求棄却を求めていましたが、令和6年3月、東京地裁は国側に二女への返還を命じる判決を言い渡しました。同月、国側は控訴し、現在係争中です。 教団は、依然として松本及び同人の説く教義を存立の基盤とするなど、その本質に変化がないと認められることから、警察では、無差別大量殺人行為を再び起こさせないため、引き続き、関係機関と連携して教団の実態解明に努めるとともに、組織的違法行為に対する厳正な取締りを推進しています。
令和6年中は、契約者以外の者を住まわせることを隠してマンションを借りたとして、主流派信者2人を検挙しています。(1月、愛知) ![]() 令和7年3月20日で地下鉄サリン事件から30年が経過し、教団に対する道民の関心が薄れ、一連の凶悪事件に対する記憶が風化することなどにより、教団の本質が正しく理解されないことも懸念されます。 そのため、警察では、教団の現状について広報しているほか、教団の組織的違法行為に対する検挙事例や警戒活動等、教団に対する警察の取組について、住民や地方自治体等に対して情報発信を行っています。 また、教団施設周辺の地域住民の安全・安心を確保するため、その要望も踏まえ、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒警備活動を実施しています。 |
【オウム真理教による主な事件】
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令和7年5月 北海道警察本部公安第一課 |