○バス停留所設置安全基準の制定について
昭和52年3月29日
道本例規(交規)第10号
/道本部各部、課(室・隊・所)長/道学校長/各方面本部長/各警察署長/あて
この度、路線バスの停留所を設置する場合の位置、距離等に関する安全基準を別添のとおり定め、昭和52年4月1日から実施することとしたので、次の事項に留意するとともに、関係機関と緊密な連携を保ち、適切な運用を期されたい。
なお、「いわゆる乗合バス停留所設置位置の基準の制定について(昭和35年10月28日道本交甲例規第205号)」は、廃止する。
1 制定の趣旨
バス停留所(以下「停留所」という。)の設置位置の基準については、「いわゆる乗合バス停留所設置位置の基準の制定について」の通達により運用してきたところであるが、その後における道路・交通事情の変化等に対処し、停留所付近における交通の安全と円滑を図るため、新たな見地から「バス停留所設置安全基準(以下「安全基準」という。)」を定めたものである。
2 実施の時期
この安全基準は、昭和52年4月1日以降の新設分から適用する。ただし、既存の停留所については、昭和54年3月31日までに、安全基準に適合する改善措置をとるよう猶予期間を設けることとする。
3 安全基準の要点
この安全基準の要点は、次に掲げるとおりである。
(1) 停留所の設置を禁止する場所を定めたこと。
(2) 停留所の設置位置の一般的な基準を定めたこと。
(3) 市街部道路に停留所を設置する場合の位置の特例を定めたこと。
(4) 停留所を向かい合わせに対向して設置する場合の位置の基準を定めたこと。
(5) 停留所(標識柱)に係る道路の使用許可事務(道路管理者との協議を含む。)の取扱要領を具体的に定めたこと。
4 運用上の留意事項
この安全基準の運用に当たつては、次の事項に留意すること。
(1) この安全基準は、停留所付近の危険防止とバス利用者の利便を考慮した一般的な基準を定めたものであり、そのそれぞれに示した距離は、最低限度のものであるから、実際の位置選定に当たつては、道路管理者、陸運事務所、バス運送事業者等関係機関と現地調査するなどにより、弾力的な運用に配意すること。
なお、停留所設置の位置の一般的な基準例を例図のとおり添付したので参考とすること。
(2) 市街部道路における特例は、あくまでも一般的な基準によりがたい場合の特例として定めたものであるから、適用に当たつては、慎重を期すること。
(3) 停留所の設置間隔については、陸運局の行政指導として、市街部道路においてはおおむね300メートル、その他の道路においてはおおむね500メートルを認可時の一応のめやすとしており、300メートル未満のものについては職権をもつて修正している場合が多いので、これを参考として運用すること。
(4) この安全基準の実施に併行して、当該停留所付近における信号機、横断歩道、交通規制等について再検討を加えるとともに、バス停車帯、道路照明、防護柵及び視線誘導標の設置等についても道路管理者に整備促進を要望しながら、交通の安全と円滑化を積極的に図るよう努めること。
(5) この安全基準を、そのまま適用できないなど特異なものについては、あらかじめ道警察本部又は方面本部の主管課に報告し、その指示を受けること。
(6) この安全基準の策定に当たつては、札幌陸運局、北海道開発局、北海道、札幌市及び北海道バス協会と協議したが、各警察署においても、道路管理者と連絡協議を緊密に実施し、新基準への移行が円滑に行われるよう配意すること。
なお、札幌市を除く各市町村長に対する連絡は、北海道(土木部道路課)を窓口として、この安全基準を送付することとなつているので申し添える。

別添
バス停留所設置安全基準
第1 目的
この基準は、路線を定めて定期的に運行するいわゆる乗合バス停留所(以下「停留所」という。)を設置する場合の位置の基準を定め、停留所付近における交通の安全と円滑を図ることを目的とする。
第2 運用の基本
停留所の設置に関し、道路交通法(昭和35年法律第105号以下「法」という。)第77条第1項の規定に基づき警察署長が行う道路の使用の許可及び法第79条の規定に基づき警察署長と道路管理者が行う協議の取扱いについては、この基準によるものとする。
第3 設置禁止場所
次に掲げる道路の部分には、停留所を設置してはならない。
(1) 交差点、道路の曲がり角、横断歩道、踏切又は軌道敷内
(2) 坂の頂上付近又は勾こう配の急な坂
(3) 橋りよう、高架道路又はトンネル
(4) 安全地帯(路面電車の停留場に設けられているものを含む。)の左側部分及び当該部分の前後の側端から、それぞれ前後に10メートル以内の部分
第4 設置の一般基準
1 停留所の設置に当たつては、次に掲げる道路の部分に乗合バス(以下「バス」という。)が停車することとならないようにしなければならない。
(1) 交差点(交差点に接近して設けられた横断歩道のある場合は、当該横断歩道を含む。以下同じ。)の側端又は道路の曲がり角から、15メートル以内の部分(例図(1)、(2)及び(3)参照)
(2) 横断歩道(交差点に接近して設けられた横断歩道のある場合は、当該横断歩道を除く。以下同じ。)の前後の側端から、それぞれ前後に15メートル以内の部分(例図(4)参照)
(3) 踏切の前後の側端から、それぞれ前後に50メートル以内の部分(例図(5)参照)
(4) 橋りよう及び高架道路の取り付け部又はトンネルの出入口から、それぞれ前後に30メートル以内の部分(例図(6)、(7)及び(8)参照)
2 前事項の基準に基づき、停留所を設置する場合において、その付近に交差点、道路の曲がり角、横断歩道又は踏切がある場合は、できる限り当該交差点等をそれぞれ通過した後の場所に設置することとし、やむを得ない事情により交差点の手前に設置する場合であつて当該停留所に停車したバスがその交差点で右折又は左折するものについては、当該交差点から30メートル以上の距離をとること。
3 同時に2台以上のバスが停車することとなるような停留所にあつても、第4の1の事項に定める基準によるものとする。
4 同一路線に、2系統以上のバスが運行している場合の停留所は、できる限り同一場所に設置するものとする。
第5 市街部道路における特例
市街部の道路の場合であつて、道路の構造、交差点の間隔、交通安全施設及び交通規制との関係、バス利用者の利便等やむを得ない事情があるときは、第4の1及び2の事項に掲げる基準にかかわらず、次に掲げる位置にバスが停車することとならない範囲内でこれを緩和することができる。
(1) 交差点の側端から、それぞれ前後に5メートル以内の部分
(2) 横断歩道の前後の側端から、それぞれ前後に5メートル以内の部分
(3) 踏切の前後の側端から、それぞれ前後に30メートル以内の部分
第6 対向停留所の基準
交差点(交差する道路の幅員が6メートル未満の場合を除く。)から次の交差点までの間に向い合わせに対向して設置する停留所については、第4の事項に定める基準によるほか、当該停留所に停車するバスが相互に背合わせとなる位置に設置するものとする。この場合、車道の片側幅員が6メートル未満の道路にあつては、30メートル(歩道と車道の区別がない道路にあつては、40メートル)以上の間隔をとるものとする。ただし、バス停車帯若しくは中央分離帯(区画線等による簡易のものを含む。)が設けられている道路又は当該対向停留所に同時にバスが停車することがないときは、この限りでない。
第7 停留所の間隔
停留所相互の間隔については、道路環境、交通の安全性、バス利用者の利便等を十分考慮して設置するものとする。
第8 道路の使用許可事務等の取扱い
停留所に係る道路の使用許可の事務取扱いについては、法、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号)、道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)及び道路交通法施行細則(昭和47年北海道公安委員会規則第11号)の規定によるほか、次により取扱うものとする。
(1) 停留所の設置についての許可申請は、同一警察署管内にわたるものについては、道路管理者ごとに包括1件として取扱うこと。
(2) 道路の使用許可(継続して使用するものを含む。)に当たつては、現地調査を行うなど関係機関と必要な協議を行うこと。
(3) 許可の期間は、原則として道路管理者の行う道路の占用許可の期間と同一期間とすること。
第9 その他
この安全基準に適合しない特別な事情のある停留所については、関係機関と協議するものとする。

例図
バス停留所の設置位置の一般的基準例
基準例の図