○地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制およびこれによる事故の防止に関する対策要綱について
昭和46年4月1日
道本例規(企・保・勤)第12号
/道本部各部、課(室・隊・所)長/道学校長/各方面本部長/各警察署長/あて
みだしのことについて、昭和45年10月5日事務次官等会議において、別添1のとおりの申合せが行なわれた。この申合せの趣旨、内容および北海道地域の連絡協議会の運営状況は次のとおりであるから、今後は、この申合せの趣旨に添い、各地区連絡協議会がいつそう適正、かつ、効果的に運営されるよう協力し、交通の安全と円滑の確保ならびに事故防止に遺憾のないようにされたい。
1 申合せの趣旨
地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制については、これまで昭和33年6月12日事務次官等会議申合せ「地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制に関する対策要綱」に基づき、中央連絡協議会および地方連絡協議会において、地下埋設工事等の施行方法等の調整等の対策が講じられてきたところであるが、最近、大阪ガス爆発事故など地下埋設工事等による事故が多発、かつ、大規模化していることにかんがみ、今回、事故の防止を積極的に図るための対策をもり込み、その見地からの連絡協議も緊密に行なわれるよう、新たに申合せを行なうこととされたものである。
なお、従前の申合せは廃止された。
2 申合せの内容
申合せの内容は、別添1(地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制およびこれによる事故の防止に関する対策要綱。以下「要綱」という。)のとおりであるが、従前の申合せとのおもな相違点は、次のとおりである。
(1) 目的および方針について(要綱第1および第2関係)
要綱の目的については、事故の防止を図ることを加えたこと。
方針については、事故の未然防止に必要な地下埋設工事等の施行方法の改善を図ることおよび事故発生の際における通報体制等を確立することを加えたこと。
(2) 連絡協議会について(要綱第3の1関係)
協議する事項に事故防止対策を加えるとともに、その委員として事故防止に必要な関係行政機関を加えたこと。
(3) 道路工事および地下埋設工事等の施行時期等の調整について(要綱第3の2関係)
地方連絡協連絡協議会において、道路工事に関する長期計画を策定するものとし、この計画に基づき、地下埋設工事等の各年度ごとの施行時期等を調整することとしたこと。
(4) 事故防止対策の協議について(要綱第3の3関係)
地方連絡協議会において、地下埋設工事等による事故を防止するため、工事の施行に伴う地下埋設物件の防護方法、関係公益物件管理者の立会い、巡視および点検の方法ならびに事故発生の際における通報体制および付近住民に対する警報体制等について協議することとしたこと。
(5) 占用関係図面の整備について(要綱第3の4関係)
道路管理者は、関係公益事業者から提出された地下埋設物に関する図面により道路台帳を整備することとしたこと。
(6) その他(要綱第4の1関係)
ガス導管に係る地下埋設工事等については、この要鋼によるほか、大阪ガス爆発事故対策連絡本部が決定したところによることとしたこと。
なお、この決定したところとは、大阪ガス爆発事故対策連絡本部決定「ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について(昭和45年5月1日)」および「ガス爆発事故防止に関する措置について(昭和45年7月15日)」をいう。
(参考通達)
別記1 「ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置の決定について(昭和45年5月7日付警察庁丙勤発第9号、警察庁丙安発第18号、警察庁丙規発第33号)」
別記2 「ガス爆発事故に関する措置およびこれに基づく緊急通報体制要領の決定について(昭和45年8月4日付警察庁丙勤発第19号、警察庁丙安発第27号、警察庁丙規発第43号)」
3 北海道地方連絡協議会について
(1) 協議会の設置
昭和37年8月31日付で設置された「北海道道路工事等調整連絡協議会」の規約を一部改正し、地方連絡協議会のメンバーの追加補正を行ない協議会を運営することとした。
(注 別添2「北海道道路工事等調整連絡協議会規約」を参照されたい。)
(2) 地区協議会の設置
北海道道路工事等調整連絡協議会の下部機関として札幌、小樽、函館、室蘭、旭川、留萌、稚内、網走、帯広および釧路の各土木現業所単位に地区協議会が設置されており、構成メンバーも、それぞれの上部機関に準じて組織されていることは、周知のとおりである。
(3) 協議会の運営状況について
ア 北海道道路工事等調整連絡協議会について
この協議会は、直接作業現場を持たない事務レベルの連絡協議会であつて、大規模工事の事前の調整、連絡および協議が主目的で、個々具体的な工事計画の調整は、各地区協議会の運営にゆだねられることとなる。
イ 地区協議会について
地区協議会の運営は、それぞれの地区の事情があつて、連絡調整の効用が低調である。
本通達の趣旨を徹底するため、毎年度、当該年度に行なう道路工事および地下埋設工事等の施工時期、方法等を合理的に調整する連絡協議会を開催し、事故防止に努める必要がある。
所轄各警察署長は、地区協議会の主要メンバーとなつているので、協議会事務局(各土木現業所管理課または用地管理課)と積極的に連絡して会議の効果的な運用を図るよう配意されたい。
(4) 地区協議会の構成員について
北海道道路工事等調整連絡協議会の構成員に準じて組織されるよう勧奨すること。
なお、本協議会は、協議機関であつて委員、幹事等の委嘱または任命行為はないので、構成員になることについては、特別問題点はない。
 
別添1
地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制およびこれによる事故の防止に関する対策要綱
(昭和45.10.5 事務次官等会議申合せ)
第1 目的
この対策要綱は、最近における地下埋設工事その他の道路の掘り返しを伴う占用工事(以下「地下埋設工事等」という。)による道路交通の障害および道路の不経済な損傷が著しく、事故が多発かつ大規模化している現状にかんがみ、関係機関の緊密な連絡の下に、地下埋設工事等についての規制の強化、地下埋設物の道路占用方式の合理化および地下埋設工事等の施行方法の改善を図ることにより、道路の構造の保全および円滑な交通の確保ならびに事故の防止を図ることを目的とする。
第2 方針
1 地下埋設工事等を計画的に行なわせるため、道路工事および地下埋設工事等の施行時期および施行方法について合理的な調整を図る。
2 地下埋設工事等による道路交通の障害および道路の損傷を最少限にとどめるため、地下埋設工事等の施行方法の改善を図る。
3 地下埋設工事等による事故を未然に防止するため、地下埋設工事等の施行方法の改善を図るとともに、事故発生の際における通報体制等を確立する。
4 道路の掘り返しの規制および事故の防止に関する対策として、共同溝の建設の推進を図る。
第3 措置
1 連絡協議会の設置
(1) 中央連絡協議会
ア 第2の方針に基づく道路の掘り返しの規制および事故の防止に関する対策について連絡協議するため建設省に中央連絡協議会を置く。
イ 中央連絡協議会の委員は、次のとおりとする。
建設省道路局長
建設省計画局長
建設省都市局長
建設省住宅局長
警察庁刑事局保安部長
警察庁交通局長
厚生省環境衛生局長
通商産業省企業局長
通商産業省公益事業局長
運輸省鉄道監督局長
郵政大臣官房電気通信監理官
労働省労働基準局長
自治省財政局長
消防庁次長
(2) 地方連絡協議会
ア 第2の1および3の方針に基づく道路工事および地下埋設工事等の施行時期および施行方法の調整ならびに事故の防止に関する対策について連絡協議するため、一定の地域を単位として、地方連絡協議会を置く。
イ 地方連絡協議会の委員は、次のとおりとする。
関係道路管理者
建築に関する関係特定行政庁
関係公安委員会または警察署長
関係労働基準局長または労働基準監督署長
関係消防長または消防署長
関係公益事業者(水道、工業用水道、下水道、軌道、鉄道、ガス、電気、電気通信等の公益事業者)
2 道路工事および地下埋設工事等の施行時期等の調整
(1) 地方連絡協議会においては、道路工事に関する長期計画との整合性を考慮した地下埋設工事等に関する長期計画を策定するものとし、この計画に基づき、関係者の緊密な連絡の下に、各種地下埋設工事等の各年度毎の施行時期および施行方法についての合理的な調整を行なうものとする。
(2) 道路管理者は、毎年度、当該年度の開始前に当該年度に行なう道路工事の計画を関係公益事業者に提示するものとする。
(3) 公益事業者は、毎年度、当該年度の開始前に当該年度に行なう地下埋設工事等の計画を道路管理者に提出するものとする。
(4) (1)、(2)および(3)の計画の対象となる道路は、国道および主要幹線街路のうち交通量が多いものとするが、その他の道路についても、大規模な掘削を伴う工事が予定されるものは、これに含まれるものとする。
(5) 道路管理者は、(2)および(3)の計画に係る工事の施行時期および施行方法について、地方連絡協議会にはかつたうえ、所要の調整を加え、当該年度の地下埋設工事等の計画を決定するものとする。
(6) (5)の地下埋設工事等の計画を変更する必要が生じたときは、当該年度の途中において再検討し、所要の変更を加えるものとする。
(7) 地下埋設工事等は、特別の事情によるもののほか、(5)または(6)により決定された計画に基づいて行なわなければならないものとする。
3 事故防止対策の協議
地方連絡協議会においては、地下埋設工事等による事故を防止するため、次の事項について協議を行なうものとする。
(1) 当該工事の施行に伴う既存の地下埋設物件の移設等の措置および掘削により露出することとなる地下埋設物件の防護方法
(2) 当該工事の施行に伴い必要となる関係公益物件管理者の立会い、巡視および点検の方法
(3) 事故発生の際における関係者に対する通報体制および工事現場附近の住民に対する警報体制
(4) その他事故の防止に関し必要な事項
4 占用関係図面の整備
関係公益事業者は、道路管理者の指示するところにより、地下埋設物に関する図面を作成し、道路管理者に提出するものとし、道路管理者は、当該図面により道路台帳を整備するものとする。
第4 その他
1 ガス導管に係る地下埋設工事等については、本要綱によるほか、大阪ガス爆発事故対策連絡本部が決定したところによる。
2 「地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制に関する対策要綱」(昭和33年6月12日事務次官等会議申合せ)は、廃止する。
 
別添2
北海道道路工事等調整連絡協議会規約
((注)――部分は、45.6.25改正分)
(名称)
第1条 本会は北海道道路工事等調整連絡協議会(以下「協議会」という。)と称する。
(目的)
第2条 協議会は、道路交通の激増と道路工事の増加に対処するため、関係諸機関の緊密な連けいのもとに合理的な調整を図り、交通の利便を増進するとともに、大規模掘削工事に伴う事故防止を図ることを目的とする。
(協議会の組織)
第3条 協議会は、次のものをもつて構成し、別表の委員、幹事をもつて組織する。
(1) 北海道開発局
(2) 札幌通商産業局
(3) 北海道労働基準局
(4) 札幌陸運局
(5) 北海道
(6) 北海道警察本部
(7) 北海道電気通信局
(8) 北海道電力株式会社
(9) 北海道ガス株式会社
(10) その他特に関係あるもの
2 本会の運営を容易にするため、地方にそれぞれ地区協議会をおくものとする。
(協議事項)
第4条 協議会の協議事項は、次に掲げるものとする。
(1) 道路管理者の行なう道路工事相互間の調整
(2) 道路管理者の行なう道路工事と道路占用のための道路工事との調整
(3) 道路占用のための道路工事相互間の調整
(4) 道路工事(占用のための工事を含む。)の施行方法と交通規制との関係
(5) 地下占用物件に起因する事故防止対策
(会議)
第5条 協議会の会議は、委員会又は幹事会により運営する。
2 委員会には、必要に応じ幹事を参加させることができる。
3 会議の運営は、会議開催のつど出席者の互選により主宰するものをきめる。
4 委員会および幹事会は、必要に応じ随時開催するものとする。
(事務局の設置)
第6条 この協議会の事務を処理するため、事務局を北海道土木部道路課内におく。
(雑則)
第7条 協議会の運営及びこの規約に定めない事項については、委員会において定める。
附 則
この規約は昭和37年8月31日より施行する。
 
別表
委員
北海道開発局建設部長
札幌通商産業局公益事業部長
北海道労働基準局次長
札幌陸運局鉄道部長
北海道総務部長
北海道土木部長
北海道警察本部防犯部長
同      交通部長
北海道電気通信局施設部長
同       保全部長
同       建設部長
北海道電力株式会社第二工務部長
その他特に関係あるものの代表者又は代理者
幹事
北海道開発局建設部建設行政課長
同        道路計画課長
同        道路建設課長
同        道路維持課長
札幌通商産業局公益事業部公益事業課長
北海道労働基準局安全課長
札幌陸運局鉄道部技術課長
北海道総務部災害消防課長
北海道土木部道路課長
同     都市計画課長
北海道警察本部防犯部外勤課長
同      交通部交通企画課長
北海道電気通信局施設部用地担当調査役
同          線路課長
同          土木課長
同       建設部線路担当調査役
同          土木工事課長
同          線路工事課長
同       保全部線路課長
北海道電力株式会社第1工務課長
同        第2工務課長
北海道ガス株式会社供給課長
その他特に関係あるものの代表者又は代理者
 
別記1
警察庁丙勤発第9号
警察庁丙安発第18号
警察庁丙規発第33号
昭和45年5月7日
/各管区警察局長/警視総監/各道府県警察本部長/各方面本部長/殿
警察庁保安部長
警察庁交通局長
ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置の決定について(通達)
ガス爆発の事故防止対策については、すでに次長および関係局部長の通達に基づき各都道府県警察ともその推進に鋭意努力されているところであるが、このたび大阪ガス爆発事故対策連絡本部(本部長通産大臣・本部員各省庁関係局長)において、ガス爆発事故防止に関する緊急の措置を別添のとおり決定されたので、これを参考に関係機関・業者とさらに連絡を密にしてその趣旨にそつた事故防止対策の推進を図るよう努められたい。
 
別添
ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について
昭和45年5月1日
大阪ガス爆発事故対策連絡本部
地下鉄工事、地下街建設工事等道路の大規模掘削工事に起因するガス爆発事故を防止するため、現に工事中であるか今後施行されることとなる地下鉄工事等について、関係者に対し、早急に次の対策を講じさせるものとする。
1 ガス導管の保安確保対策の再協議
地下鉄企業者、地下街建設企業者等(以下「地下鉄企業者等」という。)は、ガス事業者に対し、当該地下鉄工事等に伴うガス導管の保安確保対策をあらためて協議をするものとする。
2 ガス導管の移設等の実施
前記1の協議に際して地下鉄工事等の進捗状況を勘案して可能な限りガス導管の移設、切りまわしまたはガス供給系統の切替えをガス事業者が行ない、しかるのちに地下鉄企業者とは当該工事に着手し、または当該工事を進行させることとする。
3 緊急しや断装置の設置
前記2のガス導管の移設等ができない事情が存するときは、ガス事業者は、可能な限り当該工事区間の入口、出口および当該工事区間の途中にある導管の分岐部に緊急しや断用装置(しや断用バルブ、水封器等)を設置することとする。
4 ガス導管の防護方法の改善
前記2のガス導管の移設等を行なう場合以外は、従来同様ガス導管の防護を行なう必要があるが、掘削により露出したガス導管の防護方法については、地下鉄企業者等はガス事業者と協議のうえ、次の点に配慮して地下鉄工事等施行者にガス導管の防護を行なわせるものとする。
なお、(4)の工事については、ガス事業者に行なわせるものとする。
(1) 今後施行されることとなる地下鉄工事等に伴う吊防護については、自動車等による振動の影響を防止するため、吊防護専用の梁を用いることとし、吊金具はその張力を容易に調整し得る構造のものとすること。
(2) ガス導管の屈曲部等の特殊箇所については、曲げ応力が働かないようにステー等により連絡し、固定するとともに、内圧による不均衡な力を均衡させるような措置を講ずること。
(3) 受防護については、土荷重等に対して十分な強度をもつものとし、特に掘削深度が大きい場合等重要な受防護については、鋼または鉄筋コンクリートを主体とする構造のものとすること。
(4) 掘削により露出した導管の継手部には、必ず押し輪をつけることとし、屈曲部等の特殊箇所の継手部については、さらに抜け出し防止装置を施すことにより補強すること。
(5) 掘削により露出した継手部については、白色塗料を塗布する等の措置を講じ、工事現場における作業員の注意を喚起するとともに、あわせて、継手部のずれ、ゆるみ等の発生を発見するための一手段として役立たせるものとすること。
5 ガス導管の監視および通報体制等の確立
(1) 地下鉄企業者等およびガス事業者は、地下鉄工事等に伴うガス導管の保安監視のため、協力して工事現場の巡回、点検等の保安確保体制を確立強化するとともに、警察および消防機関と密接な連携を保ちつつ、緊急処理用機材を常備する等の緊急処理体制を確立強化するものとする。
(2) 地下鉄企業者等は、地下鉄工事等施行者に対し、工事現場と工事現場詰所との間を連絡する通報装置等を設けさせるとともに、ガスの漏えいがあつた場合、ガス事業者、警察および消防機関に対するガス漏えい状況についての通報体制と工事現場附近の住民等に対する警報対制を確立させ、かつ、これらについて工事現場等の作業員に周知徹底させるものとする。
(3) ガス事業者は、ガスの漏えいがあつた場合の警察および消防機関に対するガス漏えい状況についての通報体制を確立するものとする。
6 協定書の締結等責任体制の明確化
地下鉄企業者等およびガス事業者は、相互に協議して、前記4のガス導管の具体的な防護工法および前記5のガス導管の監視および通報体制等を定め、文書により相互に確認することとし、もつて地下鉄工事等に伴うガス導管の保安確保に係る責任体制の明確化を図るものとする。この場合において、地下鉄企業者等は、ガス事業者との合意の内容を文書をもつて地下鉄工事等施行者に通知徹底するものとする。
7 その他工事に関し留意すべき事項
(1) 地下鉄企業者等は、準備工事または埋め戻しには十分な工期をとるとともに、工事現場におけるブルトーザー等建設機械の運転操作を慎重に行なうよう地下鉄工事等施行者を十分監督するものとする。
(2) 道路管理者および公安委員会は、地下鉄工事等の工事現場においては、重量車両について可能な限り通行の禁止または制限を行なうものとする。
(3) ガス事業者は、道路法施行令の施行前に埋設されたこと等の理由により、埋設の状況が同令の基準に適合しないガス導管がある場合には、地下鉄工事等による掘削を機会にこれを同令の基準に適合するよう処置するものとする。
地下鉄企業者等およびガス事業者は、以上の対策を講ずるにあたつては、道路管理者の主催する関係者連絡協議会の場を十二分に活用するものとする。
なお、以上の対策を講ずるに必要な費用については、原因者負担を原則とするものとする。
 
別記2
警察庁丙勤発第19号
警察庁丙安発第27号
警察庁丙規発第43号
昭和45年8月4日
/各管区警察局長/警視総監/各道府県警察本部長/各方面本部長/殿
警察庁保安部長
警察庁交通局長
ガス爆発事故防止に関する措置およびこれに基づく緊急通報体制要領の決定について(通達)
このたび大阪ガス爆発事故対策連絡本部(本部長通産大臣、本部員各省庁関係局長で構成、以下「連絡本部」という。)において、みだしのことが別添1および2のとおり決定された。
各都道府県警察においては、ガス爆発事故の防止対策については、すでに警察庁次長および関係局部長の通達に基づき、それぞれの推進に鋭意努力されているところであるが、さらに今回決定をみたみだしのことについても、とくに下記事項に留意のうえ、関係機関、業者と連絡を密にし、その趣旨にそつた事故防止対策の推進を図るよう努められたい。
1 ガス爆発事故防止に関する措置
(1) 今回決定された「ガス爆発事故防止に関する措置について」(以下「基本措置」という。別添1参照)は、さきの「ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について」(本年5月1日決定以下「緊急措置」という。別添2参照)とは異なり、基本的対策としての措置が定められたものである。したがつて、これによつてさきの緊急措置が直ちに廃止されるものではなく、今回の基本措置とともに実施されるものである。
(2) 基本措置について、ガス事業者、工事施行者および地方の関係機関等に対しては、各関係省庁から次の2の通報体制要領も含め、それぞれ所要の指示が行なわれることになつている。
なお、連絡本部は、本年7月24日その任務を完了したので廃止された。しかし、緊急措置および基本措置については、当然に各関係省庁においてこれに基づき検討実施されるものである。
2 緊急通報体制要領
(1) この通報体制要領(別添3参照)は、基本措置の8の(1)に基づいて定められたものであり、1から3までは現地における関係機関等による緊急通報体制の要領を定めたものであるが、4および5には、中央の関係省庁において、この通報体制の確立上とるべき措置がかかげられている。
(2) この通報体制上の関係機関等を第1次のほか第2次まで定めたのは、被害の拡大防止措置や被害者の救護等の徹底を図るうえに必要なためである。第2次機関等のうち「関係企業者」とあるのは、緊急措置および基本措置にいう地下鉄企業者、地下街建設企業者等のことである。また、第2次機関等に市町村長が列挙されているのは、状況によつては、災害対策基本法第60条および第61条の避難等の措置をとるような場合があり、その関係による通報の必要も考慮されるからである。
(3) 通報対象となつている「ガスもれ」の程度については、関係機関等が協議して定めた基準以上のものとされており、したがつて、小さいガスもれで爆発の危険性がないようなものは、含まれないこととすることができる。
なお、この基準は、それぞれ現地において関係機関等が協議して定めることになつている。
(4) 関係機関等による通報の要領としては、第1次機関等は相互に通報しあうものとし、第2次関係機関等については、爆発の危険性その他必要のある場合に、第1次関係機関等から通報するようになつている。
(5) この要領中、5の「法令の整備」については、ここでの必要な法令とは、ガス事業関係法令をさすものであり、現に通商産業省においては、ガス事業法の一部を改正する法律(昭45.4.13公布法律第18号)が本年9月上旬から施行されるのを機会に、同法第30条に基づく保安規程中にこの通報体制の確立を裏付ける事項(特にガス事業者から警察および消防への通報)を入れさせるよう検討されている。また、これに先立ち、同省においては取りあえず、ガス事業者に、「大規模他工事に関する保安規程」を定めさせ、本年7月1日からこれに基づいて実施させている。
(注)
ア ガス事業法第30条(保安規程)第1項
「一般ガス事業者は、一般ガス事業の用に供するガス工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、通商産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、事業の開始前に、通商産業大臣に届け出なければならない。」
イ ここでいう「他工事」とは、ガス事業者以外の者が供給施設の周囲において工事を行なう場合のことである。
なお、「大規模他工事に関する保安規程」の標準書によると、その第13条において、次のように定めているが、通商産業省は、このことについて現地の具体的な話し合いによつては、それをこの第13条におきかえてもよい旨の指導をしている。
(緊急時における警察、消防との協力)
第13条 ガスの漏えいの事実を知り、かつ、それが緊急に措置する必要がある場合には、その規模および状況ならびに協力を必要とするか否かを附して所轄消防署および所轄警察署に連絡する。
別添1
ガス爆発事故防止に関する措置について
昭和45年7月15日
大阪ガス爆発事故対策連絡本部
地下鉄工事、地下街建設工事等道路の大規模掘削工事に起因するガス爆発事故を防止するため、去る5月1日緊急に講ずべき措置として別紙の措置を決定したところであるが、この緊急措置の実施とあわせて、事故防止に関する基本的対策として次の措置を講ずるものとする。
1 道路掘削工事に関する長期計画の策定
道路の無秩序な掘り返しを防止し、道路掘削工事に伴う保安を確保するため、道路管理者の主催する地方連絡協議会において、道路工事計画等との整合性を考慮した道路掘削工事に関する長期計画を策定するものとし、この計画に基づき、関係者の緊密な連絡の下に各種道路掘削工事の具体的な施行時期、施行方法等についての合理的な調整を行なうものとする。
2 共同溝の建設促進
共同溝は、ガス導管等地下埋設物の維持管理を容易にするのみならず、将来の地下埋設物の増加にも道路掘削を行なうことなく対処することを可能とするものであり、都市保安上極めて望ましいものであるため、国の助成によりその建設を積極的に促進するものとする。とくに再開発途上の都心部のように計画的な街づくりが行なわれ、これに随伴して公共施設(電力、電信電話、都市ガス等)の計画的敷設が要請される地区の道路については、共同溝整備道路として指定し、道路下諸埋設物の秩序ある収容を図るものとする。
3 工法の安全化の推進
地下鉄工事等における工事施行箇所の地質、地形等を勘案して適当である場合にはシールド工法の採用を図るものとする。このため、今後さらにシールド工法の適用範囲の拡大を図るため、国においてもその研究開発を早急に進めるものとする。
4 ガス漏えい検知器、ガス漏えい自動警報器等の開発および実用化
ガスの漏えいがあつた場合、これを鋭敏に検知し、自動的に警報するとともに、直ちにガスを遮断できるようにしておくことは極めて重要であるため、現在利用可能な機器についてはその利用を一層推進するとともに、国において、地下鉄工事現場等において効果的に作動するガス漏えい検知器、これと連動する自動警報器等とその配置システムの開発を早急に進め、その実用化を図るものとする。
5 地下埋設物台帳等の整備
地下埋設物の埋設状況を正確かつ確実に把握しておくため、道路管理者は、ガス事業者等の地下埋設物管理者の作成する地下埋設物に関する図面等をもとに、総合的な地下埋設物に関する台帳および図面を整備するものとする。
6 占用許可関係法令等の再検討
地下埋設物に関する保安確保のため、地下埋設物の位置、深さ、構造、材質、埋設物相互の関係等について再検討を行ない、関係法令通達等の改正を行なうものとする。
7 作業管理体制の整備等
地下鉄工事等に際してのガス導管の損傷を防止するため、当該作業の指揮にあたる作業主任者の行なうべき措置事項について法令に明記するとともに、安全管理者の機能を一層強化するものとする。
また、掘削機械、杭打機、溶接機等の使用に基づく事故を防止するため、これら機械の運転者または取扱者の資格制限、安全教育等について関係法令等の整備を行なうものとする。
8 その他
以上の諸措置を講ずるものとするほか、先の緊急措置のうち、
(1) 緊急通報体制については、別に定めるところにより、地下鉄工事等の施行者、ガス事業者、警察および消防機関はガスの漏えいがあつた場合、被害を最小限度にくいとめるため、平素から緊密な連携を保ち、通報責任者の指定、通報方法の相互確認、通報用有(無)線機の整備、住民に対する通報の依頼等の措置を講じておくとともに、特にガス爆発の危険性がある場合等には、これら関係者のみならず、市町村長、道路管理者、交通機関、医療機関等に対しても所要の通報を行なうことのできる体制を確立しておくものとする。
(2) 他工事に伴うガス導管の保安確保に関する責任については、次により明確化するものとする。
(イ) ガス事業者の掘削により露出するガス導管に係る保安およびガス事業者以外の者の掘削により露出するガス導管に施される特定の措置(本来のガス導管の維持管理のために必要な押輪、抜出し防止装置、伸縮継手および緊急遮断装置)に係る保安については、現行ガス事業法に基づく改正省令(7月1日、公布・施行)に従いガス事業者がその責任を負うものとする。
(ロ) ガス事業者以外の者の掘削により露出するガス導管に対する防護(上記(イ)に掲げる特定の措置を除く。)については、他工事企業者はガス事業者との協議により、改正された上記省令に準じて行なうものとし、工事施行上の責任は他工事企業者が負い、工法についての責任はガス事業者が負うものとする。このため、関係法令の改正および運用を検討するものとし、その間道路占用の許可の条件を付加する等関係各省においてその実効の確保に万全を期するものとする。
(3) 以上により明確化された事業者の保安確保責任の履行に関しては、関係各省においてその監督体制を一層強化するものとする。
 
別添2
ガス爆発事故の防止に関する緊急の措置について
昭和45年5月1日
大阪ガス爆発事故対策連絡本部
地下鉄工事、地下街建設工事等道路の大規模掘削工事に起因するガス爆発事故を防止するため、現に工事中であるが今後施行されることとなる地下鉄工事等について、関係者に対し、早急に次の対策を講じさせるものとする。
1 ガス導管の保安確保対策の再協議
地下鉄企業者、地下街建設企業者等(以下「地下鉄企業者等」という。)は、ガス事業者に対し、当該地下鉄工事等に伴うガス導管の保安確保対策をあらためて協議するものとする。
2 ガス導管の移設等の実施
前記1の協議に際して地下鉄工事等の進捗状況を勘案して可能な限りガス導管の移設、切りまわしまたはガス供給系統の切替えをガス事業者が行ない、しかるのちに地下鉄企業者等は当該工事に着手し、または当該工事を進行させることとする。
3 緊急しや断装置の設置
前記2のガス導管の移設等ができない事情が存するときは、ガス事業者は、可能な限り当該工事区間の入口、出口および当該工事区間の途中にある導管の分岐部に緊急しや断用装置(しや断用バルブ、水封器等)を設置することとする。
4 ガス導管の防護方法の改善
前記2のガス導管の移設等を行なう場合以外は、従来同様ガス導管の防護を行なう必要があるが、掘削により露出したガス導管の防護方法については、地下鉄企業者等はガス事業者と協議のうえ、次の点に配慮して地下鉄工事等施行者にガス導管の防護を行なわせるものとする。
なお、(4)の工事については、ガス事業者に行なわせるものとする。
(1) 今後施行されることとなる地下鉄工事等に伴う吊防護については、自動車等による振動の影響を防止するため、吊防護専用の梁を用いることとし、吊金具はその張力を容易に調整し得る構造のものとすること。
(2) ガス導管の屈曲部等の特殊箇所については、曲げ応力が働かないようにステー等により連結し、固定するとともに、内圧による不均衡な力を均衡させるような措置を講ずること。
(3) 受防護については、土荷重等に対して十分な強度をもつものとし、特に掘削深度が大きい場合等重要な受防護については、鋼または鉄筋コンクリートを主体とする構造のものとすること。
(4) 掘削により露出した導管の継手部には、必ず押し輪をつけることとし、屈曲部等の特殊箇所の継手部については、さらに抜け出し防止装置を施すことにより補強すること。
(5) 掘削により露出した継手部については、白色塗料を塗布する等の措置を講じ、工事現場における作業員の注意を喚起するとともに、あわせて、継手部のずれ、ゆるみ等の発生を発見するための一手段として役立たせるものとすること。
5 ガス導管の監視および通報体制等の確立
(1) 地下鉄企業者等およびガス事業者は、地下鉄工事等に伴うガス導管の保安監視のため、協力して工事現場の巡回、点検等の保安確保体制を確立強化するとともに、警察および消防機関と密接な連携を保ちつつ、緊急処理用機材を常備する等の緊急処理体制を確立強化するものとする。
(2) 地下鉄企業者等は、地下鉄工事等施行者に対し、工事現場と工事現場詰所との間を連絡する通報装置等を設けさせるとともに、ガスの漏えいがあつた場合、ガス事業者、警察および消防機関に対するガス漏えい状況についての通報体制と工事現場附近の住民に対する警報体制を確立させ、かつ、これらについて工事現場等の作業員に周知徹底させるものとする。
(3) ガス事業者は、ガス漏えいがあつた場合の警察および消防機関に対するガス漏えい状況についての通報体制を確立するものとする。
6 協定書の締結等責任体制の明確化
地下鉄企業者等およびガス事業者は、相互に協議して前記4のガス導管の具体的な防護工法および前記5のガス導管の監視および通報体制等を定め、文書により相互に確認することとし、もつて地下鉄工事等に伴うガス導管の保安確保に係る責任体制の明確化を図るものとする。この場合において、地下鉄企業者等は、ガス事業者との合意の内容を文書をもつて地下鉄工事等施行者に通知徹底するものとする。
7 その他工事に関し留意すべき事項
(1) 地下鉄企業者等は、準備工事または埋め戻しには十分な工期をとるとともに、工事現場におけるブルトーザー等建設機械の運転操作を慎重に行なうよう地下鉄工事等施行者を十分監督するものとする。
(2) 道路管理者および公安委員会は、地下鉄工事等の工事現場においては、重量車両について可能な限り通行の禁止または制限を行なうものとする。
(3) ガス事業者は、道路法施行令の施行前に埋設されたこと等の理由により、埋設の状況が同令の基準に適合しないガス導管がある場合には、地下鉄工事等による掘削を機会にこれを同令の基準に適合するよう処置するものとする。
地下鉄企業者等およびガス事業者は、以上の対策を講ずるにあたつては、道路管理者の主催する関係者連絡協議会の場を十二分に活用するものとする。
なお、以上の対策を講ずるに必要な費用については、原因者負担を原則とするものとする。
 
別添3
緊急通報体制要領
ガス事故に対し敏速な応急処理体制を確立し、被害の拡大防止措置を徹底するため、関係機関および業者による緊急通報体制を次により確立するものとする。
1 関係機関および業者
緊急通報体制を確立するための関係機関および業者(以下「関係機関等」という。)は、次のとおりとし、まず第1次関係機関等が相互の通報に努めるとともに状況に応じ第2次関係機関等に対して通報するものとする。
(1) 第1次関係機関等
ガス事業者
工事施工者
警察
消防
(2) 第2次関係機関等
市町村長
道路管理者
上記以外の関係官公庁
関係企業者
交通機関
医療機関
2 平素の措置
第1次関係機関等は、平素から緊密な連絡協調に努め、次の措置を講じておくものとする。
(1) 昼夜間における通報責任者を指定しておくこと。
なお、工事施工者は、工事現場ごとの通報責任者を指定しておくこと。
(2) 事故発生時における通報方法を相互に確認しておくこと。
(3) 専用電話回線、非常通報機等通報用の有無線機器を整備しておくこと。
(4) 関係機関等による定期的な通報訓練を実施すること。
(5) ガス事業者は、工事現場附近の住民等がガスもれを発見した場合は、すみやかにガス事業者または警察もしくは消防に通報するよう当該住民等に対し周知徹底を図つておくこと。
3 通報要領
関係機関等がガスもれ(関係機関等が協議して定めた基準以上のガスもれをいう。以下同じ。)を認知した場合は、次により迅速、かつ、適切な通報を行なうものとする。
(1) 通報内容
通報内容は、原則として次のとおりとする。
なお、ガス事業者および工事施工者は、爆発の危険性の有無をあわせ通報するものとする。
ア ガスもれの発見日時および場所
イ ガスもれの程度
ウ 発火の有無
エ 現場付近の状況
(2) 通報の順序
通報の順序および通報の分担は、次のとおりとする。
ア 第1次関係機関等は、相互に通報しあうものとし、その要領は次のとおりとする。
(ア) 工事施工者は、ガス事業者、警察および消防に通報する。
(イ) ガス事業者は、警察および消防に通報する。
(ウ) 警察または消防が最初に認知した場合は、他の第1次関係機関等に通報する。
イ ガス爆発の危険性がある場合、その他必要と認める場合には、第2次関係機関等に次により通報するものとする。
(ア) 警察は、市町村長、道路管理者および交通機関に
(イ) 消防は、医療機関に
(ウ) ガス事業者および工事施工者は、関係官公庁および関係企業者に
4 指導監督
通商産業、労働、建設、運輸、厚生、自治各省等は、関係業者に対し必要な指導監督を行なうよう努めるものとする。
なお、関係企業者は、工事施工者に対し、必要な指導監督に努めるものとする。
5 法令の整備
この通報体制の確立を裏付けるため、必要な法令の整備を検討するものとする。